「日本型モノづくりの敗北(著者:湯之上隆)」を読んで|シニアのIT知恵袋

何となく読後に忘れないようにまとめておきたくなりました。

1.著者の主張(要約)

著者は元日立の半導体技術者です。現場目線で、半導体が危機状態となった理由を分析しました。結果、イノベーションのジレンマ(*)そのものと言います。

半導体への要求が高品質から低価格に変化したにも関わらず、従来のやり方から抜け出せなかった。また、DRAMからSOC(System on Chip)に主力製品を変更したにも関わらず、またしても従来のやり方を踏襲してしまった。技術レベルでは高品質技術が低価格製造技術より格上と誤認し、誰もがパラダイムシフトに関心を示さなかった。日本の各社全てがこのジレンマに陥り、抜け出せなかった。

(*)イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンセン著 1997年)

イノベーションのジレンマ

2.考えた事

現在、日本が競争力を保っているのは非価格競争分野が多い。これはこれで、良いことと思う。しかし、例えばイメージセンサーであるが、需要が急拡大し世界中から一斉に参入が増えている。過去から同じようなパターンが繰り返えされて来たように思う。半導体は勿論の事、リチウム電池、太陽電池、液晶、有機ELなど数えれば切りがない。化学分野は参入し難いので、暫くは大丈夫そうだが、AIがこれをブレークスルーするかも知れない。

もともと日本人は模倣が得意な人種のようである。拘りが強く、粘り強くとことん追求して、オリジナルより良いものを作り出す。製品に限らず、スポーツでも同じようなことが起きているように思う。体操、バレーボール、スキージャンプなども然りではないだろうか。問題なのは、追い着き追い越した後である。殆どが例外無くダメになって行く。イノベーションは得意なのに、ジレンマに陥り易い。これは日本人に限ることではないが、特に日本人はこの傾向が強いようである。

何故だろう。バブル崩壊後の失われた30年に重ねてしまう。成功体験が次なる変化を阻害するとしても、この長きに渡った原因は何だろう。安倍政権になり、やっと脱出出来そうであるが、未だに反対分子も多い。

流石に30年は世代交代が起きる程の時間である。残念ながら、ジレンマの壁は越えられなかったが、世代交代によって意識せずに越えて行く時期に差し掛かっているようだ。つい先日、全米オープンテニスで大阪なおみが優勝した。池江璃花子は18年8月のアジア大会6個の金メダルでMVPを獲得した。最近、世界レベルで若手の活躍が目覚ましい。この勢いで、若者中心にジレンマの壁を突き破って行って欲しいように思う。

もはや、老人にはそれを阻害するだけの力と意思は残っていない。