日本のフィンテック(Fintec)がアジア諸国にも負けそうな訳

私は元電機メーカーのシステムエンジニアで、今は、金融機関にいます(運営者プロフィール)。今日朝のNHKニュースで、タイのフィンテックが急速に進展中とありました。中国、シンガポールではなくタイです。何故、日本は立ち遅れてしまったのでしょう。

1.フィンテックは製品では無く、システム製品、社会インフラ

実はiPhoneも典型的なシステム製品、社会インフラです。何故、SONYがWalkmanの次にiPhoneを作れなかったのか? 何故、日本の携帯電話がiモードまで対応したのにiPhoneを作れなかったのか? どうも、単体製品は得意でも、システム製品は苦手なようです。

2.何故、日本はシステム製品が苦手なのか?

昔からでしょうか? いや違います。半世紀前、当時の通産省が旗を振り、国産コンピューターを育成すべく、電機トップ6社を3グループに分けて協力と競争環境を作りました。そして、業務委託、労働基準等の法律も驚くスピードで整備したのです。結果は短期間で米国に並ぶまでに成長しました。

何故、今は出来ないのでしょう。手本が無いからと思います。新領域を切り拓くには官僚主導では難しいからです。逆に手本があれば官僚主導のトップダウンは強力です。「日本は世界で最も成功した社会主義国」と言われたものです。その後、中国は正に日本を手本に急成長しました。中国はこの後、日本同様に停滞するか、それとも、新しい社会制度を確立出来るかは分かりません。しかし、今の日本では新領域のシステム製品が産まれ難いのは確かです。

3.日本経済の閉塞感は新領域のシステム製品が苦手から来ている

多くの単体製品は発展途上国に流れ(一部の最先端単体製品は残るが)、先進国が経済成長するにはシステム製品を手掛けるしかありません。事実、世界時価総額トップ5は、Apple,Amazon,Microsoft,Google,Facebook、全て、システム製品ベンダーです。付加価値はシステム製品に宿ると言うことでしょう。

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昔のように官僚主導で米に追いつき追い越せの方法もあるが、半世紀前とはスピードが違います。最近の例で半導体、液晶のように、国が産業振興・再生を手掛けても、上手く行った試しが有りません。むしろ、シャープのように民間に任せた方が上手く行っています。

4.日本の閉塞感を打ち破るにはどうしたら良いか

徹底的な規制緩和しかないと思います。法解釈の考え方から変える必要があります。米国は法律に書かれていないことは制限が無いと解釈します。日本は法律に書かれていないことは出来ないと解釈します。この違いは大きいです。

それと、システム製品なので、やはりトップダウンが効きます。政治家、官僚に超一級人材を当てる必要があります。そのためには、民間との行き来を自由にします。官僚は国民への奉仕者ではなく、民間で成功するためのキャリアパスにします。つまり、天下りは大歓迎、勿論、良い天下りです。実は半世紀前は逆でした。日本は政官財が癒着していると米国から非難されていました。まあ、速い話、トップダウンが出来る人材をトップに据えると言うことです。

5.まとめ

半世紀前の米国は悲惨でした。自由主義が行き過ぎて、統制が取れない国でした。しかし、日本の政官財モデルを研究し、米国型の統制を考えたのです。もともと、自由主義が徹底している国です。統制が加われば強力です。

一方、中国も日本モデルを研究し、官僚主導を徹底させます。社会主義国なので、日本以上に官僚主導が行き渡ります。

肝心の日本ですが、今のままではじり貧です。次は、日本が米国、中国を研究し、追い着き・追い越す番です。先に書いたように、徹底的な規制緩和と日本型トップダウンが成功重要要因になると思います。日本には世界に誇る日本人が1.27億人います。江戸文化を生み、明治維新を断行し、戦後のSONY、松下、本田などの自由企業人を輩出し、日本には自由闊達な自由文化が流れています。大きく舵さえ切れば、日本は必ずや復活出来るものと信じています。